真空管アンプのアップグレード法 オーディオアンプ編

オーディオ真空管アンプの購入術

オーディオ真空管アンプのアップグレードの本題に入る前に、オーディオ真空管アンプを購入する際のポイントについてお話します。このポイントを知らないと、すぐに飽きて下取りコースになります。真空管屋からみたポイントですので、オーディオ店では口が裂けても教えてくれません。

第1のポイントは、汎用性が高い真空管を使っているオーディオ真空管アンプを選ぶことです。ここでいう汎用性が高い真空管とは、同一規格であっても複数のブランドから発売されている真空管を指します。汎用性が高い真空管としては、例えば、12AX7です。この12AX7は、TUNG-SOL、Mullard、Svetlana、Sovtek等の複数ブランドがあります。汎用性が高ければ、オーディオ真空管アンプを購入後に、真空管を別ブランドに差し替えすることにより、アップグレードを容易に図ることができるのです。

逆に汎用性が低い真空管としては、6N1Pです。この6N1Pは、Svetlanaしかありませんので、これ以外に差し替えすることはできず、アップグレードを図ることはできません。また、最近特に多いのが、中国独自規格の真空管です。中国製オーディオ真空管アンプに搭載されているほとんどの真空管がこれに該当します。この真空管の場合にも、差し替えができませんので、アップグレードとは無縁となります。さらに、汎用性が極端に低い不人気管を使ったオーディオ真空管アンプにも注意です。

第2のポイントは、真空管の構成を把握することです。アンプ本体に見とれている場合ではありません。真空管の構成とは、規格(300B等)、ブランド、本数です。そして、最も重要なことは、いわゆる純正管という言葉に惑わされないことです。純正管とは、そのアンプブランドが印刷された真空管を指しますが、中身は安価な中国製がほとんどです。一般的には、中国製の真空管の場合には、解像度が低く、低域が出ず、きつい高域が特徴です。従って、オール中国真空管のアンプでは、高いサウンドクオリティは到底望むことができません。

しかしながら、オール中国真空管のアンプであっても、汎用性が高い真空管である場合には、真空管の最適化を図ることにより、解像度を高く、低域を厚くするサウンドに変身させることができるのです。このことから、汎用性が高い真空管を使っているという意義がおわかりになると思います。

第3のポイントは、適度に高いオーディオ真空管アンプを選ぶことです。サウンドのアップグレードは、アンプ購入後に、真空管交換でいかようにもできますので、その土台となるアンプ本体は、丈夫なものが必要となります。あまりにも安価なアンプですと、コンデンサ、抵抗等のパーツも安価で粗悪なものが使用されておりますので、1年くらいで故障する羽目になります。一定以上のクオリティがある中くらいの価格帯のアンプをお薦めします。

第4のポイントは、アップグレードを前提として、アンプ本体価格+真空管を購入予算とすることです。真空管の最適化を図ることで、確実にサウンドをアップグレードさせることができます。従って、購入予算に真空管代も入れておくことにより、購入と同時にアップグレードも図ることができるのです。購入後に、真空管代を別途捻出するのが厳しい方にお薦めの方法です。お客様にご提案しているのが、オーディオ真空管アンプのグレードを1つ下げて、浮かせた予算を真空管購入に当てる方法です。この方法ですと、同一予算で、はるかにクオリティが高いサウンドを手に入れることができます。

オーディオ真空管アンプが届いたら

垂涎の眼差しでカタログを眺め、お気に入りのJazz CDを持ってオーディオ店に通いつめ、最後の難関である財務大臣の許可もいただき、今日がオーディオ真空管アンプ様が到着する日です。この待ち焦がれる気分は最高です。

玄関のピンポンが鳴って、大きくて、重いダンボールが届きました。

さあ、慌てずに、ダンボールを開封しましょう。

梱包材やらビニールをどけると、新品特有の匂いとともに、憧れのオーディオ真空管アンプが現れるはずです。オーディオシステムに組み込んだら、お気に入りの一枚をプレイヤーにセッティングして、緊張の初音出しです。

スピーカーからは、どんなサウンドが聞こえてきましたか?

「低域が足りないな」、「硬いサウンドだな」、「高域がきついな」とか様々な感想があることでしょう。

でも、心配しないでください。オーディオ真空管アンプの場合には、真空管の最適化を図ることにより、好みのサウンドに改善することができるのです。低域が足りないのも、硬いサウンドであるのも、高域がきついのにも原因があります。これらの原因を突き止め、対策をとることこそが、アップグレードの本質です。

早速ですが、オーディオ真空管アンプが届いたら、まずは、真空管の構成(規格、ブランド、本数)を把握しておきましょう。この真空管の構成こそが、アップグレードの出発点となります。つまり、真空管の構成により、サウンドの傾向が決定されるため、構成を変えることにより、サウンドも変化させることができるからです。

2009.12.7                            

Good music !

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