真空管アンプのアップグレード法 ギターアンプ編

まずは、理想とするギターサウンドを想像してみてください。

このタイトルを見て、すでに頭の中では、憧れのギタリストのソロ演奏シーンとともに、いつまでも聞いていたいギターサウンドが流れていることでしょう。

  • 心地よい倍音成分溢れるサウンド
  • 絹のように滑らかなシルキーサウンド
  • 太く、芯のある鋼のようにぶ厚い極太サウンド
  • どこまでもキレイに伸び、透明感溢れるクリアーサウンド

で、現実のギターサウンドはいかがでしょうか。

日々の業務で全国各地のギタリストとお話させていただいている経験からすると、理想サウンドを手にされている方は、全ギタリストの1割にも満たないと断言できます。残りの9割は、理想と現実のギャップの中で、あのエフェクターが良いという話を聞けば、それを試し、ネットであのシールドが良いという情報があれば、それを購入し、という試行錯誤に明け暮れているというのが実情です。

それでは、理想サウンドの獲得に成功している1割と、失敗している9割との差は、なんでしょうか。両者の間に、アップグレードにかけられる経済力の差はほとんどありません。むしろ、9割の方のほうが、あれやこれやと試行錯誤している分だけ、投資総額では勝っていると思います。

ずばり、その差とは、「情報の質」です。

つまり、事実に裏づけされた正確な情報を入手できれば、誰でも、理想サウンドを手に入れることができます。

その方法を知りたくはありませんか。

ヴィンテージサウンドには、そのための情報が蓄積されており、いつでもお客様にご案内できる環境があります。

しかも、無償です。

巷に溢れる都市伝説的な情報に振り回されているようでは投資額は増えても、いつまでもたってもゴールが見えてきません。

絶対に教えてくれないギターアンプメーカーの本音

各ギターアンプメーカーからは、何十種類ものアンプが発売されておりますが、適切な真空管交換でサウンドのアップグレードが図られることを高らかに告知しているところは残念ながらありません。

正確に申しますと、告知したくないというのがメーカーの本音です。

なぜでしょうか?

ずばり、アンプが売れなくなるからです。真空管をブラックボックス化して、アンプ本体側に注目させたいのです。

真空管交換で様々なサウンドを一台のアンプで作られると、アンプの買い換え需要が激減してしまい、メーカーの売り上げに悪影響を及ぼすことは容易に想像できます。

また、メーカーのアンプに最初から実装されている真空管は、さぞかし厳選された高級品と思っている方が非常に多いと思いますが、これも、幻想に過ぎません。

数十万円するアンプであっても、デフォルトで実装されているのは、最安価な中国球や、せいぜい、ロシア球の中でも廉価球です。無印やメーカーロゴがプリントされている真空管のほとんどは、中国球だと思ってまず間違いありません。

弊社のように真空管を専門とする者からすると、アンプ価格を抑えるために安価な真空管しか使えないというメーカーの本音をかいま見ることができます。

デフォルトの真空管は、自動車の標準タイヤ・ホイールのようなもので、過剰な期待は禁物です。

しかしながら、裏を返すと、アップグレードの余地が多く残されているということが言えます。

また、誤解されている方が非常に多いのが、グルーブチューブを純粋なメーカーだと思っている方です。グルーブチューブは、中国球やロシア球に自社ロゴマークをプリントして販売している会社で、いわゆるリブランド商社です。例えば、つぎのような対応関係となります。

  • GT-12AX7R2→Sovtek 12AXLPS
  • GT-12AX7R3→Electro Harmonix 12AX7
  • GT-ECC83S→JJ ECC83S

そもそも、デフォルト真空管のギターサウンドは良くないのか?

ギターアンプにデフォルトで実装されている真空管のうち、ポピュラーなデフォルト真空管は、なんと言っても中国球です。ここで、オール中国球のギターサウンドを実際にお聴かせします。Dr.Subsonic氏のサウンド解析(レーダーチャートおよび評価)をチェックしながら、聴いてください。

オール中国球のギターサウンド

このオール中国球のサウンドを聴く

いかがでしたか?

硬く、高音がきつめであることが特徴ですので、残念ながら低音が出ません。また、全体的にノイズ成分が多いのも特徴ですので、クリアさに欠けます。このサウンドを良しとするかは好みの問題となりますが、真空管を交換することで、同じアンプで、低音を出すことも可能となります。

真空管の選び方一つでサウンドがこんなにも激変します。

つぎに、オール中国球から、プリ管をECC803S JJ ゴールドの中ゲイン(ハイエンドクラス)に、パワー管を KT77 JJの中パワー(ハイエンドクラス)に変えてみましょう。するとどうでしょうか、オール中国球の場合の上記レーダーチャートと、以下レーダーチャートとを比較すると、正反対のキャラクタに激変しているのに驚かれることでしょう。もちろん、同じアンプで、セッティングもギターも同一です。

低音サウンドの真空管組み合わせ

このサウンドを聴く

いかがでしょうか。

あれだけ高音指向のキャラクタは、正反対の低音指向となり、ダイナミックレンジ、明瞭度、サステインが軒並み向上し、まるで別のギターアンプになったようで、まるで魔法のようです。

これが、ヴィンテージサウンドが最も得意とするサウンドデザインの考え方です。

真空管一つでこれだけ自在にキャラクタを変化させることができ、これが真空管アンプの真骨頂です。

もっと別の組み合わせを聴きたい方は、真空管聴き比べ SOUND BAR(無料)でお楽しみください。

理由は、真空管が周波数フィルターだからです。

真空管を交換すると、高域が出たり、逆に低域が出たりして、なぜ、サウンドが変化するのでしょうか。

理由は、真空管が周波数フィルターとしても機能しているからです。周波数フィルターは、サウンド信号に含まれる全周波数のうち特定の周波数成分だけを通過させる役目を果たします。さらに、真空管の場合には、増幅機能もありますから、特定の周波数成分が強調され、フィルターとしては能動的に動作します。

ここで、一眼レフカメラのレンズも周波数フィルターの一種です。レンズの場合には、サウンド信号よりも高い周波数(可視光線)を扱いますが、原理は真空管の場合と同じです。つまり、一眼レフカメラの場合、レンズを透過する光に対してフィルタ作用が生じるため、光カメラボディは同じでも、レンズを変えると、同じ被写体であっても、色味や全体の感じを変化させることができます。

ギターアンプの場合には、プリ管という第一周波数フィルターと、パワー管という第二周波数フィルターという2つの周波数フィルターが使われております。サウンド信号は、第一周波数フィルター(プリ管)を通過する際に一回目のサウンド変化を受け、第二周波数フィルター(パワー管)を通過する際に二回目のサウンド変化を受けて、スピーカーから出力されます。

真空管は、増幅機能だけが注目されがちですが、周波数フィルターとしての機能を知らないと、闇雲に真空管を交換しつづけるというスパイラルに入り込んでしまいます。

真空管の特性を知ることが、理想サウンドを作り出す上で最も重要な一歩ということができます。

プリ管が立派でも、パワー管の選び方を間違えると、全てが台無しになるケース

上述では、プリ管にECC803S JJ ゴールドの中ゲイン(ハイエンドクラス)、パワー管に KT77 JJの中パワー(ハイエンドクラス)を使い、太い低音サウンドを実現した成功例についてご紹介いたしましたが、プリ管はそのままで、パワー管として、EL34B TADの中パワー(ハイエンドクラス)を選んでしまうと、サウンドはどうなるでしょうか。

パワー管の失敗例

このサウンドを聴く

理想としていた低音指向ではなく、逆に高音指向のサウンドとなってしまいました。

期待ハズレの失敗例です。

このように、パワー管の選び方を誤ると、いかにプリ管が立派でも、台無しになってしまいます。

逆に、パワー管が立派でも、プリ管の選び方を間違えると全てが台無しになるケース

今度は、逆に、パワー管はそのままで、プリ管として、12AX7WA Sovtek 中パワー(ハイエンドクラス)を選んでしまうと、サウンドはどうなるでしょうか。

プリ管の失敗例

このサウンドを聴く

このケースも、理想としていた低音指向のサウンドと、真逆の高音指向のサウンドになってしまい、上述のパワー管の誤選択のケースよりもその傾向が顕著です。

これも期待ハズレの失敗例です。

プリ管とパワー管とをバランス良くデザインすることが肝心

上述した2つのケースから明らかなように、プリ管だけに注目しても、パワー管だけに注目してもダメで、プリ管とパワー管とをバランス良くデザインすることが、理想サウンドへの近道となります。

とは言っても、プリ管とパワー管との組み合わせの多さ、環境、個人の好み等の要素が複雑に絡みあうため、選ぶこと自体が非常に難しいのが現実です。

真空管のセレクトには、長年の経験と情報がモノを言います。

是非、ヴィンテージサウンドのオーダーメイド真空管セレクト(無料)をご活用ください。

ギターアンプのアップグレード方法論

ギターアンプのアップグレードを検討するには、アップグレード対象のパーツ、パーツ交換の容易性、費用対効果を考えながら、優先順位をつける必要があります。アップグレード対象のパーツは、ギターアンプを構成する真空管、コンデンサ、固定抵抗、可変抵抗(ポット)、ジャック、配線材、ハンダ等を指し、ギター信号が通過するものです。これらのパーツのうちどれを交換しても、サウンドを変化させることができますが、変化量にはかなりの差があります。

結論から言うと、能動素子としての真空管が変化量が最も大きく、それ以外の受動素子としてのコンデンサ、固定抵抗、可変抵抗(ポット)等は、真空管よりも変化量が少なくなります。これは、真空管に増幅作用があるからです。

つぎにパーツ交換の容易性については、はじめからソケットを介して着脱自在に設計された真空管に軍配が上がります。その他の受動素子(コンデンサ等)は、ハンダ付けされているため、気軽に交換という訳にはいかずハードルが高くなります。また、ハンダ作業には、電子回路の知識が不可欠であるとともに、経験とコツがいります。

かかる状況を総合的に判断すれば、費用対効果があるのは、真空管であるということができます。従って、アップグレードの優先順位としては、はじめに、真空管交換でお気に入りのサウンドに改善した後、つぎのステップとして、受動素子を交換してみるという流れになります。

アップグレードの第一ステップは、真空管の構成を正確に把握すること

真空管交換によるアップグレードを決意したら、最初の仕事は、ギターアンプのキャビネットを開けて、実装されている真空管の構成を正確に把握してください。具体的には、真空管を1本1本外して、管壁にプリントされている規格(12AX7、EL34等)、ブランド(Sovtek等)、本数をつぎのように紙に書き出してください。なお、真空管を戻す際、実装位置を間違わないように気をつけてください。

  • プリ管 12AX7WA Sovtek 3本
  • プリ管 12AX7B China 2本
  • パワー管 EL34B TAD 4本
  • 整流管 5AR4 Sovtek 1本

くれぐれも、楽しようとして、取り扱い説明書に記載されている真空管リストで真空管の構成を把握することは禁物です。特に、中古アンプの場合には、前オーナーが別の真空管に交換していると、実体と乖離してしまうからです。

アップグレードの第二ステップは、現状サウンドと真空管の構成との相関関係を理解すること

物事には必ず原因と結果がありますが、ギターアンプの場合には、真空管の構成が原因で、その結果がスピーカーから出力されるギターサウンドとなります。つまり、現状サウンドが悪い原因は、真空管の構成にあるのです。逆に言えば、真空管の構成を変更することで、サウンドを改善することができるのです。このように、現状サウンドと真空管の構成とは、深い相関関係がありますので、これを理解してください。

例えば、現状サウンドが歪みにくいと感じた場合、「ゲインが低いプリ管が実装されている」、または「プリ管の経年劣化によるゲイン低下」が原因となりますので、高ゲイン指定のプリ管に交換することで、歪みやすいサウンドに改善することができます。

また、現状サウンドの輪郭がぼやけていると感じた場合、「パワー管のパワーが低い」ことが原因となりますので、高パワー指定のパワー管に交換するか、バイアス調整でサウンドの輪郭がはっきりしたクリアなサウンドに改善することができます。

さらに、現状サウンドの低域が出ないと感じた場合、プリ管とパワー管のキャラクタおよび組み合わせが悪いことが原因となりますので、低域が出る組み合わせに変更することで、低音が締まったサウンドに改善することができます。

アップグレードの第三ステップは、サウンド変数を知ること

サウンド変数とは、ギターサウンドに影響を与える真空管要素を指します。数学の変数xと同じで、サウンド変数を変化させると、結果も変化するという考え方です。ここで、スピーカーから出力されるギターサウンドを関数f(x)と定義すると、ギターサウンドは、サウンド変数の関数ということができます。それを数式表現すると、つぎのようになります。

ギターサウンド=f(x1, x2, x3, x4, x5, x6, x7, x8, x9)

  • x1:プリ管の規格(12AX7、12AT7等)
  • x2:プリ管のブランド(EH、JJ等)
  • x3:プリ管のゲイン(低ゲイン、中ゲイン、高ゲイン等)
  • x4:パワー管の規格(EL34、KT88等)
  • x5:パワー管のブランド(Gold Lion、Svetlana等)
  • x6:パワー管のパワー(低パワー、中パワー、高パワー等)
  • x7:整流管の規格(5AR4、5U4GB等)
  • x8:整流管のブランド(EH、JJ等)
  • x9:整流管の特性(双極マッチ等)

これらのサウンド変数x1〜x9のうちどれを変化させても、ギターサウンドは必ず変化します。例えば、サウンド変数x2、すなわち、プリ管12AX7のブランドをEHからJJに変更した場合には、JJ特有のサウンド成分が加味されるため、おのずと、出力されるギターサウンドもJJ寄りに変化します。

また、サウンド変数x3、すなわち、プリ管のゲインを低ゲインから高ゲインに変更した場合には、歪みやすいサウンドに変化します。さらに、サウンド変数x6、すなわち、パワー管のパワーを低パワーから高パワーに変更した場合には、音の輪郭がはっきりし、クリアーなサウンドに変化します。

このように、サウンド変数の変更によりサウンドを自由自在にコントロールすることができます。サウンド変数の最適化を図ることこそが、理想サウンドの実現につながります。

アップグレードの第四ステップは、サウンドデザインという考え方を知ること

上述したサウンド変数のうちプリ管のゲインと、パワー管のパワーに着目して、サウンドをコントロールするという考え方が、ヴィンテージサウンドがご提案している真空管によるサウンドデザインです。

サウンドデザインの考え方

この図表は、真空管聴き比べ SOUND BARの再生画面で表示されておりますので、見覚えのある方も多いと思います。同図には、サウンド変数としてのプリ管のゲインとパワー管のパワーとを最適化することにより、9種類のサウンドをデザインできる概念が表示されております。

横軸は、プリ管のゲインに対応しており、ギターアンプの場合には、歪み度合いを表しております。横軸上の3つの真空管マークは、左から「低ゲイン」、「中ゲイン」および「高ゲイン」に対応しております。

一方、縦軸は、パワー管のパワーに対応しており、ギターアンプの場合には、クリアさを表しております。縦軸上の3つの真空管マークは、下から「低パワー」、「中パワー」および「高パワー」に対応しております。

以下では、サウンドデザインの詳細についてお話をしてゆきます。

プリ管のゲインについて

サウンドデザインにおいては、プリ管のゲインが重要となります。ここで、プリ管のゲインは、増幅率のことで、同一規格・ブランドであっても、ゲインにはバラつきが必ず存在します。

例えば、同一規格・ブランドのプリ管として、12AX7 エレクトロハーモニクスが100本あるとします。これら100本のゲインを専用測定器で測定すると、ゲインの高いもの、低いもの、その間のものが存在し、ある幅で分布します。なお、ヴィンテージサウンドでは、自社でゲイン測定したプリ管を「低ゲイン」、「中ゲイン」および「高ゲイン」という3つのゲインに仕分けして販売しております。

ここで、注意すべきは、どのゲインを選ぶかによって、サウンドが変化します。具体的には、つぎの通りです。

  • 高ゲイン→歪みやすくなる
  • 低ゲイン→歪みにくくなる
  • 中ゲイン→これらの中間

つまり、プリ管のゲインにより、サウンドをコントロールすることができるのです。一般販売店では、ゲインが明示されておりませんので、かかるコントロールをすることは不可能で、運まかせのサウンドとなってしまいます。

パワー管のパワーについて

サウンドデザインにおいて、もう一つの重要なファクターは、パワー管のパワーです。ここで、パワー管のパワーは、パワー管を流れる電流の大きさで、同一規格・ブランドであっても、パワーにはバラつきが必ず存在します。この点は、プリ管と同様です。

例えば、同一規格・ブランドのパワー管として、EL34 ムラードが100本あるとします。これらの100本のパワー(電流)を専用測定器で測定すると、パワーの高いもの、低いもの、その間のものが存在し、ある幅で分布します。なお、ヴィンテージサウンドでは、自社でパワー測定したパワー管を「低パワー」、「中パワー」および「高パワー」という3つのパワーに仕分けして販売しております。

ここでも、注意すべきは、どのパワーを選ぶかによって、サウンドが変化します。具体的には、つぎの通りです。

  • 高パワー→音の輪郭がはっきりしたクリアサウンド
  • 低パワー→音の輪郭にグラデーションがかかったソフトサウンド
  • 中パワー→これらの中間

このように、パワー管のパワーによっても、サウンドをコントロールすることができるのです。一般販売店では、これらのことを意識した販売形態をとっておりませんので、効果的なコントロールは、難しいと思います。

サウンドデザイン1(基準サウンド)

サウンドデザインの目的は、上述プリ管のゲインとパワー管のパワーとの組み合わせで、サウンドをコントロールすることです。3種類のゲイン(低ゲイン、中ゲインおよび高ゲイン)と、3種類のパワー(低パワー、中パワーおよび高パワー)との組み合わせですから、都合9種類(3×3)のサウンドを作り出すことができます。

最初のサウンドデザイン1は、中ゲインと中パワーとの組み合わせで、9種類のちょうど中間に位置する基準サウンドです。この基準サウンドは、当たり外れが少ない万人向けのサウンドであるため、最初に真空管を導入する場合に好適です。

  • プリ管→中ゲイン
  • パワー管→中パワー
サウンドデザイン1

なお、真空管聴き比べ Sound Barでは、中ゲインのプリ管、中パワーのパワー管が採用されており、この基準サウンド(本サウンド)が再生されるようになっています。

従って、真空管聴き比べ Sound Barのサウンドが気に入った場合には、中ゲインのプリ管と中パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン2(歪みにくくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、パワー管は、中パワーのままで、プリ管を中ゲインから低ゲインに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも歪みにくくなり、クリーンがキレイに出るようになります。歪み過ぎを抑制したい場合に有効な手法です。

  • プリ管→低ゲインに変更
  • パワー管→中パワーのまま
サウンドデザイン2

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み過ぎと感じた場合には、低ゲインのプリ管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン3(歪みやすくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、パワー管は、中パワーのままで、プリ管を中ゲインから高ゲインに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも歪みやすく、より深いディストーションが得られるようになります。歪み不足を改善したい場合に有効です。

  • プリ管→高ゲインに変更
  • パワー管→中パワーのまま
サウンドデザイン3

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み不足を感じた場合には、高ゲインのプリ管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン4(ソフトになる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管は中ゲインのままで、パワー管を中パワーから低パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭にグラデーションがかかりソフトなサウンドになります。聴き疲れ改善や、他楽器よりも出過ぎるギターサウンドを抑制したい場合に有効です。

  • プリ管→中ゲインのまま
  • パワー管→低パワーに変更
サウンドデザイン4

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、聴き疲れを感じた場合には、低パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン5(クリアになる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管は中ゲインのままで、パワー管を中パワーから高パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭がハッキリし、クリアなサウンドになります。存在感を高めたり、他楽器よりも前に出したい場合に有効です。

  • プリ管→中ゲインのまま
  • パワー管→高パワーに変更
サウンドデザイン5

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、クリア不足を感じた場合には、高パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン6(クリアで歪みやすくなる!)

ぎに、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから高ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから高パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭がハッキリし、クリアでかつ歪みやすいサウンドになります。存在感を高めたり、他楽器よりも前に出したい場合であって、歪み不足も改善したい場合に有効です。

  • プリ管→高ゲインに変更
  • パワー管→高パワーに変更
サウンドデザイン6

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み不足およびクリア不足を感じた場合には、高ゲインのプリ管と高パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン7(クリアで歪みにくくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから低ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから高パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭がハッキリし、クリアでかつ歪みにくいサウンドになります。存在感を高めたり、他楽器よりも前に出したい場合であって、歪み過ぎも抑制したい場合に有効です。

  • プリ管→低ゲインに変更
  • パワー管→高パワーに変更
サウンドデザイン7

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み過ぎおよびクリア不足を感じた場合には、低ゲインのプリ管と高パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン8(ソフトで歪みにくくなる!)

つぎに、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから低ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから低パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭にグラデーションがかかり、ソフトでかつ歪みにくいサウンドになります。聴き疲れ改善や、他楽器よりも出過ぎるギターサウンドを抑制したい場合であって、歪み過ぎも抑制したい場合に有効です。

  • プリ管→低ゲインに変更
  • パワー管→低パワーに変更
サウンドデザイン8

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み過ぎおよび聴き疲れを感じた場合には、低ゲインのプリ管と低パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

サウンドデザイン8(ソフトで歪みにくくなる!)

最後に、基準サウンドに対して、プリ管を中ゲインから高ゲインに変更するとともに、パワー管も中パワーから低パワーに変更してみましょう。

すると、基準サウンドよりも、音の輪郭にグラデーションがかかり、ソフトでかつ歪みやすいサウンドになります。聴き疲れ改善や、他楽器よりも出過ぎるギターサウンドを抑制したい場合であって、歪み不足も改善したい場合に有効です。

  • プリ管→高ゲインに変更
  • パワー管→低パワーに変更
サウンドデザイン9

真空管聴き比べ Sound Barを聴いて、歪み不足および聴き疲れを感じた場合には、高ゲインのプリ管と低パワーのパワー管を選択すれば良いのです。

賢い新品ギターアンプのアップグレード術

新品でギターアンプを購入するという行為は、非常に楽しく、何度でも経験したいものです。愛用のギターを持って、楽器店に何度も足を運び、試し弾きを繰り返して、悩みに悩んでようやく決めた最高の一台です。

ピカピカのギターアンプが届いたら、まずは、ビールでも飲みながら1時間ほど眺めて、楽しみましょう。

次は、ギターをアンプに繋いで、音出しです。

サウンドチェックは、いかがでしたか?

ほとんどの方は、「あれっ?」という具合に、楽器店でのサウンドとはちょっと違う感じになると思います。これは、楽器店と自宅では、音響環境が異なるからです。こうなると、サウンドを改善したいと思うのが人情というものです。

そこで、ギターアンプのアップグレードをあれやこれやとはじめる訳ですが、アップグレードの方向性を間違えると、多額の出費が待っています。例えば、高価なシールドに交換したり、ギターのピックアップを交換したり、ギターを買い換えたり、強者になると、新たにギターアンプを買い換える等です。

ギターアンプを買い換えるのは、最終手段で、その前にやるべきことはたくさんあります。

費用対効果が最も高いのは、いわずもがな「真空管交換」です。ギターアンプ本体に比べれば、真空管はわずかな出費で済み、効果は絶大です。たった1本のプリ管を交換しただけで、ガラリと別のサウンドに変わります。

真空管を最適化することで、20万円のアンプを、60万円のアンプのサウンドにすることも夢ではありません。

前述したように、新品ギターアンプにデフォルトで実装されている真空管は、メーカーのコスト削減で、グレードの低いものがほとんどです。このことから、新品アンプを購入する場合は、真空管交換を前提に予算の組み立てをします。

つまり、新品アンプ本体価格+真空管を購入予算とします。真空管は、アンプ本体価格の20%も見ておけば十分です。場合によっては、アンプのグレードを一つ落として、浮かせた予算で真空管を交換するというも賢い方法で、同一予算で、それ以上のサウンドを得ることができます。

ここで忘れてはいけないのは、新品アンプが到着したら、キャビネットを開けて、真空管の構成を必ず確認しておきましょう。真空管の構成とは、規格(EL34,12AX7等)、ブランド(Sovtek等)および本数を指します。この真空管の構成は、サウンドの要となりますので、押さえてください。

真空管の構成がわかれば、サウンドの特徴を推測することができますので、そこから改善策を導きだすことができるのです。

さらに、真空管の交換履歴も記録しておきましょう。真空管の交換を繰り返すと、いつ交換したのがが不明となりがちで、新旧真空管が混在する状態となり、知らないうちに、旧真空管がサウンドのボトルネックとなっていることもあります。

真空管交換によりアンプのサウンドが改善したら、つまり、アンプの基礎サウンドを固めてから、つぎのステップであるシールド交換、ピックアップ交換等へ移行すれば良いのです。アンプの基礎サウンドが固まらないうちに、あれやこれやと盲目的に交換してしまうと、訳がわからない状態、つまり、原因と結果との因果関係が不明となり、気が付けば、楽器店の売り上げに多大な貢献をしている自分に気づくことにもなりかねません。

まずは、費用対効果が高い真空管交換からはじめてはいかがでしょうか。

失敗しない中古ギターアンプのアップグレード術

中古のギターアンプ選びは、コンディションがまちまちのため、目利きが必要となります。いくつかのポイントがありますのでご紹介しましょう。

第1のポイントは、パーツ類の交換履歴が明確なアンプを選ぶことです。パーツとは、真空管、コンデンサ、抵抗、コード、スピーカー等です。購入前には、必ず、キャビネットを開けてもらって、内部パーツの状態を確認しましょう。劣化したパーツがある場合には、いずれトラブルが発生します。

第2のポイントは、サウンドにノイズが無いこと。楽器店の店員の中には、「真空管アンプだからノイズがあるのはしょうがない」という信じられない説明をする者もいるらしいです。はっきり言っておきますが、ノイズがあるのは、真空管不良等で、きっちりとメンテナンスされていれば、中古であっても、クリアーなサウンドが出ます。サウンドチェック時にノイズが出るアンプは、絶対に避けてください。買ってから、泣きを見ることになります。

第3のポイントは、真空管の構成(真空管規格、ブランド、本数)を確認してください。ブランドや新旧入り交じって真空管が混在している場合や、本来、同一ブランドでなければならない、パワー管のうち、1本だけ別ブランドに交換されている場合には、要注意です。

第4のポイントは、お宝ヴィンテージ管があるかをチェックすることです。お宝ヴィンテージ管とは、1950年代前後の真空管全盛期に米国や欧州で製造された真空管で、RCA、Telefunken、GE、Mullard等のブランドが代表的です。中古アンプでは、ヴィンテージ管がそのまま実装されているケースが良くあります。ヴィンテージ管は、高価であるため、中古アンプ本体価格よりも高いヴィンテージ管が実装されていたという、お買い得な買い物もあります。

これらのポイントを踏まえて、良い中古ギターアンプを購入してください。

そして、中古ギターアンプを購入したら、迷わず真空管を全交換してください。中古ギターアンプの場合、ほぼ間違いなく真空管も中古ですから、何年も交換していないのも普通にあります。この場合には、本来のパフォーマンスの半分も出ていないことでしょう。真空管を交換することにより、びっくりするくらいアンプが蘇ります。

中古ギターアンプのアップグレードは単純明快で、まずは真空管を全数交換することから始まります。

従いまして、中古ギターアンプを購入する場合には、真空管交換の予算も考慮することをお薦めいたします。

これまで、一連のギターアンプのアップグレードのご紹介をしてまいりましたが、これにて終了です。

是非ともご活用いただき、楽しいギターライフをお過ごしください。

以上

2009.12.4                              

Good music !

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